阿膠（あきょう）

中国山東省産の山東阿膠が一番よいとのことである。
日本産はウシ、ブタなどの皮、骨、腱、結合組織を原料として製するが、主に工業用膠である。
玉阿膠は、膠の小片を熱で加えて膨らませたもので、原料膠の品質が不明のため薬用には適さない。
膠は接着剤として利用されるほか、カプセル剤や座薬、ゼラチンスポンジなどの医薬品原料として応用されている。

「阿膠（あきょう） 基源」ウマ科 Equidae のロバ Equus asinus L. やウシ科 Bovidae のウシ Bos taurus L. var. domesticus GMELIN などの除毛した皮を水で煮て製したニカワ塊。
「阿膠（あきょう） 出典」神農本草経　上品
「阿膠（あきょう） 別名」伝致膠、傅致膠。
「阿膠（あきょう） 処方用名」陳阿膠、驢皮膠、生阿膠、阿膠珠、蛤粉炒阿膠、蒲黄炒阿膠
「阿膠（あきょう） 性味」甘/平
「阿膠（あきょう） 帰経」肺、肝、腎

「阿膠（あきょう） 成分」
膠質蛋白質のコラーゲンとゼラチン(collagen、gelatin)、グルチン(glutin)、コンドリン(chondrin)などと、その部分加水分解産物のアミノ酸などを含有する。
「阿膠（あきょう） 効能」
補血止血、滋陰潤肺
「阿膠（あきょう） 薬理作用」
補血・止血（軽度の出血に使用するだけで、重症の出血には効果がない。）・滋陰・潤燥。
また動物実験によると、筋肉の栄養障害の進行を予防する。これは食物中のビタミンＥ酸化を防止することによるらしい。
「阿膠（あきょう） 応用」
1.血虚による眩暈、心悸などの病証に用いる。
本品は良好な補血薬で血虚諸症に適用する。
多くは党参（とうじん）、黄耆 (おうぎ)、当帰 (とうき)、熟地黄(じゅくじおう)などの補気養血薬と配伍する。
2.吐血、衄血、血便、不正性器出血に用いる。
阿膠は止血の主要薬で、単味で使用しても効果があるが、常に他の薬物を配合して用いる。
『千金翼方』では、蒲黄（ホオウ、ほおう）、乾地黄を配合し、吐血に使用すると述べている。
吐血、鼻出血、血便、不正性器出血には、灶心土(そうしんど)、乾地黄、黄耆、附子などを配合する。例：黄土湯。
不正性器出血、月経量の過多、妊娠下血、流産後の持続的な出血には、生地黄(しょうじおう)、白芍(びゃくしゃく)、はくしゃく) 、艾葉炭などを配合する。例：膠艾湯。
3.陰虚による煩躁、不眠などの病証に用いる。
阿膠は、補血のほか、滋陰の作用もある。
たとえば熱病で陰液を損傷したことによる煩躁、不眠を治療する黄連阿膠湯は、阿膠に黄連 (おうれん)、白芍、鶏子黄を配合したものである。
4.陰虚肺燥による咳嗽に用いる。
阿膠は滋陰潤肺の効能がある。
たとえば肺陰虚の内熱による咳嗽、咽喉乾燥、痰が少ない、あるいは痰に血が混じるなどに、馬兜鈴、牛蒡子（ごぼうし）、杏仁 (きょうにん)などを配合した、補肺阿膠湯がある。
壮熱が肺を損傷したことによる乾咳、無痰、呼吸促迫、煩躁、口渇、咽喉や鼻腔の乾燥などには、生石膏、杏仁、桑葉（ソウヨウ）、麦門冬（ばくもんどう）などを配合する。例：清燥救肺湯。

「阿膠（あきょう） 注意」
阿膠はしつこくて消化されにくいので、脾胃虚弱による食欲不振、消化不良、嘔吐、下痢などには禁忌。

「阿膠（あきょう） 用法・用量」
阿膠は加熱すれば溶けるが、低温でゼリー状に凝固するため、煎剤に用いるときは滓をこした後に溶かしながら服用する。
タンニン酸によって沈殿するので配合に注意する。
3～15ｇ。煎剤に用いるときは、残渣を除去した煎汁に溶かして服用する。

「阿膠（あきょう） 産地」
中国山東省。