全蠍（ぜんかつ）

「基源」
科名：キョクトウサソリ科/属名：-属
和名：キョクトウサソリ/生薬名：全蝎（ゼンカツ）/学名：Buthus martensi Karsch.を食塩水に入れて殺し乾燥したもの。
「出典」 開宝本草
「別名」 全蠍（ゼンカツ）、鉗蠍、全蝎、蝎子、淡全蝎、全虫、蠍尾、サソリ、杜柏、主簿虫、
「性味」 甘、辛/平、有毒
「帰経」 肝

「成分」
毒性蛋白質のブトトキシン、ヒドロキシルアミン、レシチン、コレステロール、ステアリン酸、パルミチン酸など１７種類のアミノ酸を含み、そのうち、７種は必須アミノ酸である。
「効能」
鎮痙、鎮痛薬として、ひきつけ、破傷風、瘡瘍腫毒、瘰癧結核、関節炎、筋肉痛、頭痛、風湿痺痛に用いる。
「薬理作用」
熄風止痙、活絡止痛、攻毒散結。
「応用」
1.急性、慢性の驚風、卒中、顔面神経麻痺などの痙攣に用いる。
全蝎には著しい熄風解痙の効能があるので、蜈蜙を配伍して粉末にすりつぶして止痙散となる。
これは臨床でよく使われる方剤である。
小児の急性痙攣に対して、天麻、釣藤鈎、山羊角などを配伍して使用し、脾虚による慢性痙攣に対して、党参、白朮、天麻などを配伍して使用する。
卒中による口眼歪斜の治療には、白附子、白僵蚕を配伍する。例：牽正散。
破傷風の治療には、天南星、蝉退を配伍する。例：呉虎追風散。
2.瘡瘍腫毒、瘰癧結核に用いる。
全蝎は解毒散結、通絡止痛の作用を持っているので、中医外科の常用薬である。
3.難治性の頭痛、偏頭痛、風湿痺痛などに用いる。
全蝎には著しい通絡止痛の効果があり、単独でその粉末を服用しても効果がある。
もし蜈蜙、白僵蚕などを配伍すれば効果はより強くなる。
「注意」
毒があるので、過量に用いてはならい。
また血虚生風には慎重に使用しなければならない。
「処方例」
牽正散、呉虎追風散など。
「用法・用量」
内服：煎剤には１日２～５グラム。あるいは粉末にして丸・散剤に入れる、毎回０．５～１グラム。蠍尾の使用量は全蠍の１/３です。
外用：適量。
「産地」
中国（河南、山東省に主産。その他河北、遼寧、湖北）。